投資用区分マンション売却の完全ガイド|流れ・相場・税金・タイミング
この記事のポイント
- 所有期間5年超で譲渡所得税率が39.63%→20.315%に下がるため、売却タイミングが手取り額を大きく左右する
- 売却価格の算出には収益還元法が使われ、年間家賃収入÷想定利回りで査定額の目安を把握できる
- 仲介手数料は売却価格×3%+6万円+消費税が上限の法定額で、これに印紙税・抵当権抹消費用が加わる
- 複数の不動産会社に査定を依頼し、投資物件に強い会社を選ぶことが高値売却の最短ルート
- 入居者がいるオーナーチェンジ物件は投資家向けに売りやすく、空室物件とは異なる売却戦略が必要
投資用マンションの売却を考えるなら、「今が売り時かどうか」と「手元にいくら残るか」の2点を最初に整理しておくことが出発点になります。2026年現在、都市部を中心に不動産価格は高水準を維持しており、出口戦略を実行しやすい局面が続いています。ただし、所有期間が5年以下か5年超かで譲渡所得税率が39.63%と20.315%に大きく分かれるため、売るタイミング次第で手取り額が数百万円単位で変わることも珍しくありません。この記事では、売却を検討し始めたオーナーが押さえておくべき市場相場・売却の流れ・税金の計算・高く売るコツ・注意点を、具体的な数字とともに順を追って解説します。
投資用マンションや投資物件の売却とは、家賃収入や将来的な売却益を目的として購入したマンションや不動産を、第三者に売却することです。
投資用マンションの売却を検討する理由
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投資用マンションの売却理由は資金ニーズや管理負担など多岐にわたり、状況によって最適な売却タイミングが異なります。
資金調達の必要性
投資用不動産を保有し続けることが、必ずしも最善の資産運用とは限りません。事業拡大のための運転資金が急に必要になったり、株式・別の収益不動産といった新たな機会に資金を振り向けたいケースは珍しくないのです。
都市部の区分マンション1室でも、売却価格が1,000万〜3,000万円台に達することは多く、まとまった流動資金を一度に確保できます。たとえばローン残債が500万円残る物件を1,500万円で売却できれば、仲介手数料や税金を除いた手取りで1,000万円前後のキャッシュが手に入る計算です。老後資金の確保や相続対策として売却を選ぶオーナーも増えており、動かしにくい不動産を現金化して資産全体の流動性を高めるという発想は、出口戦略として十分に合理的です。
物件管理の負担
ワンルームマンション1室であっても、管理組合への対応・入居者クレームへの対処・管理会社とのやり取りは継続的に発生します。本業が忙しくなった、遠方へ転居した、年齢を重ねて対応が難しくなったといった理由から、管理の手間を売却で解消しようとするオーナーは少なくありません。
管理会社に委託していても、月次収支報告の確認・滞納発生時の判断・大規模修繕の議決権行使など、オーナーとして意思決定しなければならない場面は定期的に訪れます。複数の投資物件を持つオーナーが物件数を絞り込む「ポートフォリオの整理」として売却を選ぶ場合も、管理負担の軽減が主な動機になっていることが多いです。
空室リスクの回避
空室が3か月続けば、管理費・修繕積立金・ローン返済は全額オーナーの持ち出しです。月々のローン返済が6万円、管理費・修繕積立金が合計1.5万円であれば、3か月で約22万5,000円が手元から消える計算になります。
築年数が経過した物件や駅から徒歩15分超の立地では、空室期間が長期化しやすい傾向があります。入居中のうちに売却活動を始め、オーナーチェンジ物件として売り出すほうが査定額・成約額ともに有利になるケースが多く、空室リスクを感じ始めたら早めに動くことが損失を最小化するポイントです。
修繕費用の負担
築15年を超えた区分マンションでは、給湯器の交換(10〜20万円)、エアコンの入れ替え(8〜15万円)、クロスや床材の大規模リフォーム(30〜50万円)といった設備更新が次々と発生します。建物全体の大規模修繕に伴い、1戸あたり数十万円規模の一時金徴収が発生した事例も珍しくありません。修繕費の増大が収益を圧迫し始めたタイミングで売却を検討するのは理にかなっており、物件の状態が比較的良好なうちに売り出すほうが高値での売却につながりやすいのです。
税金の支払い負担
投資用マンションの保有中は、固定資産税・都市計画税が毎年発生します。都市部の物件では年間10〜20万円台になることも多く、空室や低稼働が続く状況では収益に対する税負担の比率が重くなります。
売却時には譲渡所得税が発生しますが、保有期間が5年を超えれば税率は20.315%まで下がります。5年以下の場合は39.63%と約2倍の水準になるため、売却タイミング次第で手取り額が大きく変わってくるのです。
毎年の保有コストとしての税負担と、売却時の譲渡所得税のバランスを試算したうえで「いつ売るか」を判断することが、手元に残る金額を最大化するための基本的な考え方です。
2026年の投資用マンションの売却タイミング
投資マンションの売却タイミングは、金利動向・市場相場・所有期間・修繕サイクルの4軸で判断すると損失を抑えられます。
金利上昇前の売却
日銀が金融政策の正常化を進める中、不動産投資ローンの金利は上昇傾向にあります。金利が上がると買い手が使えるローン枠が縮小し、支払える上限価格が下がるため、売却価格に下押し圧力がかかります。
具体例を挙げると、利回り6%・年間家賃収入60万円のワンルームマンションを収益還元法で評価すると想定価格は1,000万円です。ところが買い手の調達金利が1%上昇して投資判断の利回り水準が7%に切り上がると、同じ家賃収入でも評価額は約857万円に下落します。この差約143万円が、金利上昇だけで生じる「見えないロス」です。売却を先延ばしにするほど買い手の購買力が低下するリスクがある点は、意識しておく必要があります。
市場相場の上昇時
2026年1月の不動産価格指数は2010年平均を100とした場合に223.7まで上昇しており、都市部の投資用マンション相場は高水準を維持しています。全国的に地価が4年連続で上昇している点も、売り手にとって追い風です。
ただし、この上昇は均一ではありません。都心の利便性の高いエリアと郊外では価格の動きが大きく異なり、郊外物件は伸び悩みや下落が先行する傾向があります。新規登録件数が増加して需給バランスが変化しているというデータもあり、強気相場がいつまでも続く保証はないため、高値圏にいる今のうちに動くという判断は出口戦略として合理的です。
所有期間が5年を超えたとき
売却益(譲渡所得)にかかる税率は、所有期間5年以下の短期譲渡所得で39.63%、5年超の長期譲渡所得では20.315%と、約19ポイントの差があります。
譲渡所得が500万円の場合、5年以下での売却では税負担が約198万円、5年超では約102万円となり、差額は約96万円です。これは仲介手数料(売却価格×3%+6万円+消費税)に匹敵する金額です。所有期間があと数か月で5年を超えるという状況であれば、売却活動を開始しつつ契約・決済のタイミングを5年経過後に合わせるだけで、手取り額が大きく変わります。
大規模修繕の前
マンションは築10〜15年を目安に大規模修繕が行われることが多く、修繕積立金の一時徴収や月額引き上げが実施されるケースがあります。修繕後は建物の状態が改善されるものの、売却価格への反映は限定的なケースが大半で、費用だけを負担して終わるリスクも否定できません。修繕計画の議題が上がる前、あるいは積立金の値上げが通知される前に売却活動を開始できれば、余計なコストを次のオーナーへ引き継いでもらえる可能性が生まれます。管理組合の議事録や長期修繕計画書は、売却前に確認しておきたい書類です。
減価償却が終了する前
投資用マンションを保有している間は、建物部分の減価償却費を毎年の不動産所得から経費として計上できます。RC造マンションの法定耐用年数は47年、償却率は0.022です。
減価償却が終了すると、それまで経費として使えていた金額がそのまま課税所得に上乗せされ、毎年の税負担が増えます。加えて、長年の減価償却により帳簿上の取得費が圧縮されているため、売却時の譲渡所得が大きくなりやすい点にも注意が必要です。残存年数が少なくなってきた段階で、保有継続と売却のどちらが有利かを試算しておくと、判断の精度が上がります。
投資用マンションの売却の流れ
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投資用マンションの売却は、査定依頼から引渡しまで一般的に3〜6か月かかり、各ステップで判断ミスをすると価格や税負担に直結します。
価格査定の依頼
売却活動の出発点は、不動産会社への査定依頼です。投資用マンションの査定では「収益還元法」が主に使われます。年間家賃収入を想定利回りで割り戻して価格を算出する手法で、年間家賃収入が60万円・想定利回りが6%であれば、査定価格はおおむね1,000万円となります。
査定額は不動産会社によって数百万円単位で変わることがあります。3〜5社に査定を依頼して価格の根拠を比較することが、出口戦略を成功させる第一歩です。査定結果が出るまでは、おおむね1〜2週間を見ておきましょう。
媒介契約の締結
査定結果をもとに売却価格と方針を固めたら、不動産会社と媒介契約を結びます。媒介契約には「専属専任媒介」「専任媒介」「一般媒介」の3種類があり、複数社への依頼可否や報告義務の頻度がそれぞれ異なります。
投資用マンションの買い手は投資家層に限られるため、収益物件の取引実績が豊富な会社を選ぶことが売却期間の短縮に直結します。仲介手数料の法定上限は「売却価格×3%+6万円+消費税」で、2,000万円で売却できた場合の手数料は最大726,000円(税込)です。
売却活動の開始
媒介契約を締結すると、不動産会社がレインズへの登録や各種広告を通じて買い手を探し始めます。購入検討者は利回りや入居状況、修繕履歴を重視するため、賃貸借契約書・管理費・修繕積立金の明細・過去の修繕記録などの書類を事前に整えておくとスムーズです。
売却方法は「仲介」と「買取」の2択です。仲介は市場価格に近い水準での売却が期待できる一方、買い手が見つかるまでに1〜3か月を要するのが通常です。買取は最短数日で現金化できますが、買取価格は市場価格の70〜80%程度になるケースが多いとされます。空室が続いてキャッシュフローが悪化している状況では、買取の即金性が現実的な選択肢です。
契約条件の交渉
買い手の候補が現れると、価格や引渡し時期、ローン特約の有無などの交渉が始まります。この段階は1〜2週間かかることが多く、「いつ引き渡すか」「入居者がいる状態(オーナーチェンジ)で売るか」といった条件も売買金額に影響します。あらかじめ「どこまで下げられるか」の下限を決めておくと、交渉の場での判断を誤りにくくなります。
売買契約の締結
条件が合意に達した時点で、売買契約書への署名・捺印となります。売却価格が1,000万円超〜5,000万円以下の場合、印紙税は1万円です。契約締結と同時に買い手から手付金(売買代金の5〜10%程度)を受け取るのが一般的で、売主都合でキャンセルする場合は手付金の倍額を返還する義務が生じます。把握している瑕疵は正直に開示しておくことが引渡し後のトラブルを防ぎます。
物件の引渡し
売買契約から1〜2か月後、いよいよ決済・引渡しの日を迎えます。当日は買い手・売り手・不動産会社・司法書士が金融機関に集まり、残代金の受け取りと同時に所有権移転登記の手続きが進みます。抵当権が設定されている場合はローン残債を一括返済して抵当権を抹消し、その登録免許税は不動産1件につき1,000円です。
引渡し完了後も、譲渡益が発生した場合は翌年の2月16日〜3月15日に確定申告が必要です。税務手続きまでを含めた一連の流れとして把握しておくことで、手元に残る金額を正確に見通せます。
投資用マンションの売却にかかる税金
投資用マンション売却時の税負担は、所有期間が5年を超えるかどうかで税率が約20%と約40%に二分されます。
譲渡所得税の概要
投資用マンションを売却して利益が出た場合、その利益(譲渡所得)に対して譲渡所得税が課されます。計算式は「売却価格 −(取得費+譲渡費用)」で、取得費には購入時の諸費用も含まれます。
見落としやすいのが、減価償却費の扱いです。賃貸経営中に計上してきた減価償却費は、売却時に取得費から差し引かれます。毎年の確定申告で節税に活用してきた分だけ、売却時の課税対象額が増える仕組みになっているわけです。「減価償却で得をした分、売却時に回収される」と理解しておくと整理しやすいでしょう。
税率は所有期間によって大きく変わります。売却した年の1月1日時点で所有期間が5年以下の場合は短期譲渡所得として39.63%、5年超の場合は長期譲渡所得として20.315%が適用されます。たとえば2,000万円で購入した物件を2,500万円で売却し、取得費・諸費用の合計が2,200万円だった場合、譲渡所得は300万円です。長期保有であれば税額は約61万円ですが、短期保有だと約119万円とほぼ倍になります。所有期間が5年以下(売却した年の1月1日時点)の状態で売却を急ぐと、この差額がそのまま手取りの減少に直結するため 、所有期間は売却タイミングを判断するうえで外せない視点です。
取得費が不明な場合は、売却価格の5%を取得費とみなす「概算取得費の特例」を利用できます。ただし実際の取得費が5%を大きく上回るケースがほとんどなので、購入時の売買契約書や領収書は必ず保管しておいてください。
住民税の負担
譲渡所得税とは別に、住民税も課されます。住民税は前述の税率に含まれており、長期譲渡所得の20.315%は所得税15%・住民税5%・復興特別所得税0.315%の合算です。短期譲渡所得の39.63%も同様に、所得税30%・住民税9%・復興特別所得税0.63%という内訳になっています。
注意したいのは、住民税の納付通知が「売却した翌年6月以降」に届く点です。売却益が出た年の翌年に一括で請求されるため、売却代金を受け取ってすぐ使い切らず、住民税分を手元に残しておく必要があります。高額物件の売却後は翌年の住民税が数十万円単位になることも珍しくなく、資金計画の段階で織り込んでおくべき項目です。
その他の税金(印紙税など)
売買契約書には印紙税が発生します。売却価格が1,000万円超〜5,000万円以下の場合、印紙税額は1万円です。金額自体は小さいものの、見落とすと契約書が未納扱いになるため、契約締結前に準備しておきましょう。
ローン付き物件を売却する際は、抵当権抹消のための登録免許税も必要です。不動産1件につき1,000円と少額ですが、手続きを司法書士に依頼する場合は別途報酬(1〜2万円程度)がかかります。売主が消費税の課税事業者に該当する場合は、建物部分の売却価格に10%の消費税が課される点も押さえておきたいところです。個人が区分マンション1室を売却するケースでは免税事業者に該当することが多いものの、法人名義や複数棟を保有して課税売上高が一定を超えている場合は事前に確認しておく必要があります。
確定申告は、譲渡益が生じた年の翌年2月16日から3月15日の間に行います。申告を忘れると延滞税や無申告加算税が発生するため、売却が完了した段階で早めに税理士へ相談しておくことをお勧めします。
投資用マンションを高く売るためのコツ
投資マンションを高く売るには、複数査定・専門業者の選定・満室状態・海外投資家へのアプローチという4つの視点が有効です。
複数の不動産会社に査定を依頼する
投資用マンションの査定額は、依頼する不動産会社によって数十万円、場合によっては100万円以上の開きが生じることも珍しくありません。各社の得意エリアや保有する顧客データベース、売却実績が異なるため、同じ物件でも価格判断にばらつきが出ます。
収益物件の査定では収益還元法が主に用いられ、たとえば年間家賃収入が60万円の物件を想定利回り6%で査定すれば、価格は1,000万円と算出されます。利回りの設定は各社で微妙に異なるため、同じ収入でも査定額にブレが出やすい構造です。
一括査定サービスを活用すれば複数社への依頼を同時に進められます。ただし、査定額の高さだけで選ぶのは避けたほうが無難です。「高く査定して囲い込む」手法を使う業者もいるため、数字の裏付けを必ず確認しましょう。最低でも3社以上に依頼し、査定額の幅を把握したうえで交渉に臨むことをお勧めします。
投資物件に強い不動産会社を選ぶ
投資用マンションの売却は、居住用物件とは商流がまったく異なります。買い手の多くは個人投資家や法人であり、収益性・利回り・入居率・管理状況を重視します。収益不動産の売買に特化した業者のほうが、適切な買い手を早期に見つけやすい傾向があります。
見極めのポイントは、過去の投資物件の成約実績と投資家ネットワークの厚みです。任意売却が必要な局面では、年間1,500件以上の相談実績を持つ専門機関への相談も選択肢に入ります。仲介手数料は売却価格の3%+6万円+消費税が上限として定められており、手数料の安さだけで判断せず、投資物件への知見と営業力をセットで評価してください。
入居者がいる状態での売却
オーナーチェンジ物件、つまり入居者が居住したまま売却するスタイルは、投資用マンションの売却において有力な選択肢です。買い手が投資家である場合、購入直後から家賃収入を得られるため、空室物件より評価されやすい面があります。
長期入居者がいて家賃滞納歴のない物件は安定した収益を証明できるため、買い手の安心感につながります。管理会社の選定や修繕履歴の書類をあらかじめ整理しておくと、交渉をスムーズに進めやすくなるでしょう。空室が続いている物件は、売り出し前に入居者を確保するか賃料設定を見直してから売却活動に入るかを検討する価値があります。空室のまま売り出すと、利回りを低く見積もられ値引き交渉の材料にされやすいからです。
外国人投資家へのアプローチ
円安基調が続く局面では、海外の投資家にとって日本の不動産は割安感のある投資先として映ります。都市部のワンルームマンションや利回りの高い収益物件は特に注目されやすく、外国人投資家への売却が成立するケースも増えています。
こうした層へアプローチするには、英語・中国語対応のできる不動産会社や、海外向け物件ポータルに掲載実績のある業者を選ぶのが効果的です。物件の収益性データを英語で資料化しておくだけでも、交渉の入り口が広がります。ただし、外国人への売却には契約書の翻訳や資金の送金確認など、通常より手続きが複雑になる場面もあるため、専門知識を持つ業者や司法書士と連携して進めることが欠かせません。国内の投資家だけでなく海外の買い手まで視野に入れることで、売却価格の底上げにつながる可能性が高まるでしょう。
投資マンション売却時の注意点
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投資用マンション売却で失敗しないためには、価格設定・期間・業者選び・コスト把握の4点を事前に整理しておくことが肝心です。
適正価格での売り出し
投資用マンションの査定では、居住用物件と異なり「収益還元法」が中心的な手法となります。年間家賃収入を市場の想定利回りで割り戻して価格を算出する方法で、たとえば年間家賃収入60万円・想定利回り6%なら査定価格は1,000万円という計算です。
陥りやすい落とし穴が「高すぎる売り出し価格」の設定です。市場から乖離した価格で売り出すと長期間売れ残ったあとに値下げを繰り返す展開になりがちで、最終的な成約価格がかえって低くなります。複数社に査定を依頼し、収益還元法に基づく根拠のある価格帯を確認したうえで売り出し価格を決めることが高値売却への近道です。
2026年時点では都市部を中心に不動産価格は高水準を維持しており、賃料水準の高いエリアの物件は投資家からの需要も見込めます。一方、郊外物件は価格の伸び悩みが出やすい傾向があるため、エリアの市況を踏まえた現実的な価格設定が求められます。
売却活動の期間を考慮する
仲介による売却は市場価格に近い金額での成約が期待できる反面、買い手が見つかるまでに一般的に3〜6か月程度かかります。その間も管理費・修繕積立金・固定資産税が発生し続けるため、「何か月まで待てるか」を事前に決めておくことは欠かせません。
買取を選ぶと売却価格は市場価格の70〜80%程度に下がりますが、数週間単位で現金化できます。 空室が続いて収支が悪化しているといった事情があれば、買取も十分に現実的な選択肢です。売却活動を始める前に「いつまでに売りたいか」「いくら以下なら売らない」の2条件を明確にしておくと、仲介か買取かの判断がぶれにくくなります。
信頼できる不動産会社の選定
投資用マンション・収益物件の売却は、居住用物件とは求められる専門性が異なります。収益還元法による査定や、入居者がいる状態での売却(オーナーチェンジ)の交渉など、投資物件特有の知識が必要です。年間1,500件以上の収益物件売却相談を受けている専門機関も存在しており、実績のある会社を選ぶことが後のトラブル防止につながります。
選定時に確認しておきたいのは、投資物件の売却実績数、オーナーチェンジ案件の経験、そして担当者が収益還元法を使った査定の根拠を丁寧に説明できるかどうかです。「高い査定額を出してくれた会社」ではなく「根拠を明示できる会社」を選ぶ視点が大切です。
税金や手数料の把握
投資用マンションを売却する際には複数のコストが発生します。仲介手数料は売却価格×3%+6万円+消費税、印紙税は契約金額が1,000万円超〜5,000万円以下の場合は1万円、抵当権抹消の登録免許税は不動産1件につき1,000円が目安です。
金額が最も大きくなりやすいのが譲渡所得税です。所有期間が5年以下の場合は税率39.63%、5年超の場合は20.315%と大きく変わります。 売却益が500万円あった場合、5年以下なら約198万円、5年超なら約102万円の税負担となり、その差は約96万円にのぼります。取得費が不明な場合は売却価格の5%を概算取得費として使える特例もありますが、実際の購入金額が5%を上回っているなら通常の計算のほうが有利です。
確定申告は売却益が出た翌年の2月16日から3月15日の間に行う必要があります。申告漏れは無申告加算税の対象になるため、売却が完了したら早めに税理士へ相談しておくことをおすすめします。
外国人投資家への売却も視野に入れる
都市部の投資用マンションを売却する場合、外国人投資家を対象に含めることで、想定より高い価格での成約につながるケースがあります。
東京・大阪・札幌といった主要都市の区分マンションは、アジア圏の海外投資家から根強い需要を集めています。円安局面での購入者が多かった背景もあり、2026年現在も「円建て資産の安定性」を評価する動きは続いています。香港・台湾・シンガポール・中国本土の富裕層を中心に、利回り3〜5%台の都市型ワンルームを積極的に取得する傾向が見られます。
外国人投資家への売却を実現するには、国内向け仲介とは異なるルートが必要です。「Juwai」や「Asia Property HQ」といった海外向け不動産ポータルへの掲載実績を持つ仲介会社を選ぶか、インバウンド対応に特化した不動産会社に依頼するのが現実的な選択肢といえます。英語・中国語での物件資料の作成はもちろん、賃料収入や利回りを明示した収支シミュレーションを事前に整備しておくと、交渉がスムーズに進みやすくなります。
外国人への不動産売却自体に法的な制限はありませんが、取引後の登記手続きや本人確認書類の取り扱いが複雑になるケースがあります。外国人投資家は利回りや管理状況を厳しく精査する傾向があるため、空室が続いている物件よりも入居者付きの状態で売り出す方が評価を得やすいでしょう。
国内市場だけでは売れ残ってしまう投資マンションも、売却先の選択肢を広げることで状況が変わることがあります。投資マンションがなかなか売却できないと感じているケースほど、外国人投資家向けルートを一度検討してみる価値があります。
まとめ
投資用マンション・投資物件の売却は、タイミング・税金・不動産会社の選定という3つの軸で結果が大きく変わります。所有期間5年超で長期譲渡所得税率20.315%が適用される時期を狙い、複数社への査定依頼で適正価格を把握したうえで、投資物件の売買実績が豊富な会社に媒介を依頼する。これが基本的な成功パターンです。仲介手数料(売却価格×3%+6万円+消費税)や印紙税・抵当権抹消費用なども含めた手取り額のシミュレーションは、売り出し前に一度しっかり行っておきましょう。査定額や売却戦略について疑問点があれば、投資物件の取り扱い実績が豊富な不動産会社への問い合わせから始めてみてください。
※掲載内容は執筆時点の情報です。最新情報は各自治体・関係機関の公式ホームページをご確認ください。
監修・執筆
鳰川 弥
宅地建物取引士
私営業スタイル ~接客時に大切にしていること~
いつでもお客様のご相談にお答えできるよう、横浜元町店の開店時に会社からすぐ近くの場所に引っ越してまいりました。それ程この仕事が好きな訳ですが、その根底には「お客様のお役に立ちたい」という想いがございます。
「お客様の幸せに繋がるご提案をさせていただき、お客様の笑顔に繋げるお手伝いをする。」今後もお客様のお役に立てるよう、より一層の精進を重ねてまいります。
よくあるご質問
Q 投資用マンションの売却にかかる費用の内訳は?
主な費用は仲介手数料(売却価格×3%+6万円+消費税)、印紙税(契約金額1,000万円超〜5,000万円以下なら1万円)、抵当権抹消登録免許税(不動産1件につき1,000円)、そして司法書士への報酬です。これらに加え、譲渡益が出た場合は譲渡所得税・住民税・復興特別所得税も発生します。売り出し前に手取り額のシミュレーションを行うことが重要です。
Q 投資用マンションを売却するベストなタイミングはいつですか?
所有期間が5年を超えた直後が税率面で有利です。5年以下の短期譲渡では税率39.63%、5年超の長期譲渡では20.315%と大きく異なります。また、2026年現在のように市場価格が高水準にある局面や、大規模修繕の前、減価償却が終了する前も売却を検討しやすいタイミングといえます。
Q 投資用マンションの査定額はどのように計算されますか?
投資用マンションの査定には収益還元法が用いられ、「年間家賃収入÷想定利回り」で価格を算出します。たとえば年間家賃収入60万円・想定利回り6%なら査定額は1,000万円が目安です。居住用マンションとは異なる算出方法のため、投資物件の取り扱い実績がある不動産会社への査定依頼が精度の高い結果につながります。
Q ローン残債が売却価格を上回る場合はどうすればよいですか?
売却価格がローン残債を下回るオーバーローン状態でも、任意売却という方法で売却できる場合があります。任意売却は金融機関の同意を得たうえで進める手続きで、投資用マンション・収益物件でも対応可能です。まずは金融機関と不動産会社の両方に相談し、残債と査定額の差額をどう処理するか確認することが先決です。
Q 投資用マンション売却後の確定申告はいつ、どのように行いますか?
売却益(譲渡所得)が発生した場合、売却した翌年の2月16日から3月15日の間に確定申告を行う必要があります。申告では譲渡所得(売却価格-取得費-譲渡費用)を計算し、所有期間に応じた税率を適用します。取得時の購入価格や諸費用の領収書が必要になるため、売却前から書類を整理しておくと手続きがスムーズです。